9話は、絵の登場にドキドキしてハラハラドキドキ。文字通り手に汗握ってました!
【第9話のあらすじ】
ベンチャー企業の社長で投資家の村野真(かないしゅう)ら4名の男女が会議室で死んでいるのが見つかり、専従捜査班が臨場する。村野は『貴田竜介』と書かれた名刺を握りしめており、現場からは現金2000万円がなくなっていた。は、被害者4人に対し、テーブルにグラスが8脚も残されていることに疑問を感じる、、後略
「刑事7人」どのシーンの美術協力か
71年前に起きた事件と現代に起きたの事件との酷似。共に、犯人とされた人物は画家、、
主人公、天城が71年前の事件を調べ始めると、、
2つの殺人事件が軸となっていますが、私の絵は、71年前の事件の犯人とされた
テンペラ画家の絵として、登場させていただいております。
ちなみに、絵の登場シーンはストーリーの18分ごろ〜20分、3カットです。
↑モノクロのアトリエシーン。肖像権の関係で、実際よりトリミングしてます。
そして、下のシーンは非常に印象的な演出でした。
↑一つの画面に様々なシーンが交錯し、、冤罪を着せられた画家の悲哀が、舞い散る桜吹雪と
イーゼルに残された桜の絵に象徴されてました。
また、この桜の絵「咲いて散って、また咲く」をご覧になった監督様が、
おそらくこの場面だったではないかと??そう長くはないカットですが、
ぜひ、皆さんもじっくりご覧くださいね。
↑最後のテロップも大きく入れていただき、ありがとうございます。
現代アートの作家さんのアトリエ(と作品)も面白く←テロップにあった「絵画教室ルカノーズ」さんかな??巻き戻しで何度も見ちゃいました。
↑放映前に、制作スタッフ様よりお送り頂いた撮影シーン。
一見、本物の画家アトリエのようですが、もちろんスタジオ内のセット。
放映前にこの画像を助監督S様(以降、S様)から送っていただいて「おぉ、、」思わず声が出ました。
私のアトリエより画家のアトリエっぽいんですよ。
真ん中の私の絵を乗せているH型イーゼルも、床の絵の具の染みも、テーブルの絵皿も、、
リアリティがすごい。ドラマのセットはもっと簡単なものだと勝手に想像していました。
セットって、クオリティと精度の高い作り込みなんですね。
一つのシーンも大勢の方の技術と時間の結晶で、もう一本の番組全体となると
私には想像もつかないくらいの技術と時間の結晶なんだとしみじみ。
実は、この桜の絵と一緒にイーゼルも貸していただけたら、というオファーもありました。
が、この大型イーゼルは小型冷蔵庫並みのボリュームがある上に、形状が複雑な為
輸送中の破損の可能性も高い。それらを率直にお伝えしたところ、イーゼルは美術部さんで
準備したものになりました。
写真から大勢の息遣いを感じて、すごい番組に関わらせていただいたのだなあと
改めて身が引き締まりました。
刑事7人に登場した絵ができるまで
この桜の絵「咲いて散って、また咲く」を登場させていただきました。

満開の桜がモチーフですが、タイトル「咲いて散って、また咲く」に込めたように
その時に咲いた桜の姿だけではなく、咲いてから散っていく過程と、
そして、一年が経ってまた同じように咲く場面をイメージしています。
一過性の花の美しさだけではなく、そこから続いていく、時間の流れと、繰り返す生命の営み
普遍の美しさや力強さを表現したいと思いました。
私の変わらないテーマは「時間」です。時間は目に見えないものですが確実に存在し、
みなさんが共通だと思っている「時間(と事象、それに付随する記憶)」は
決して一つではないのです。
ある年の春、はらはらと舞い落ちるこんな光景を見たときに、花見客の喧騒や姿はすっかり消えて
静止した時間の中に一人放り込まれたような不思議な感覚でした。そこから構想を温め、3年くらい経った頃、形にしようと、夏も描き、冬も描き、そして翌年の春に一年がかりで完成しました。
こちらの作品も大きさやモチーフは異なりますが、咲いて、散って、また始まる、
その繰り返しと営みを描いてます。
↑「ブーケはCadmium yellow」作品のサイズなど詳細は
こちら
実は根底には同じテーマがあります。制作については
こちら繊細で目に見えない、でも確実にあるものを表現するには、テンペラ絵の具と透明な樹脂絵具を
重層的に積み上げるこの「テンペラ画」がぴったりと思います。
監督様は、優れた表現者でいらっしゃいますが、一過性の花の美しさだけではなく、そこから続いていく、時間の流れと、繰り返す生命の営み普遍の美しさや力強さを、感じとってくださったからではないかと思っております。
刑事7人に美術協力したのは、テンペラ画
第9話は、殺人事件の犯人とされた画家が、テンペラ画家という設定でした。
おそらく1948年に実際にあった
帝銀事件をモデルにした脚本ではないかと思います。
ドラマの中でも説明されたように、この事件は冤罪の可能性が高いようです。
私自身は、制作画法を油絵の具から油彩テンペラに移行して、10年以上経ってから
地方都市で展示の際に、帝銀事件のことをお客さんから初めて伺いました。
その時は、自分が続けている画法と過去の事件を一緒に結びつけられるのは、
すごく抵抗がありました。先にそういったイメージがあると、作品そのものをちゃんと見て
評価してもらうことが難しいと思ったのです。
でも、絵画というジャンルそのものが、様々な表現の中で少数派である事実。
その中で古典画法はさらにマイナーなジャンル。そこにスポットを当てていただけて、
皆さんに関心や興味を持っていただくのは、きっかけはなんであれ良いチャンスではないのかと
思い直しました。
この美術協力は「テンペラ画」で絵をお探しのS様にお声がけいただき
ーーーーー
テンペラは、まだ油絵具、画材屋さんがなかった時代、1500年代の画法
(日本だと室町時代〜戦国時代ですね)
誰もが知る巨匠レオナル・ド・ダビンチも用いた、といえばその長い歴史がわかりやすいかと。
生卵を使用した手作り絵の具と下地を一枚一枚塗って仕上げた板を使って描くんですよ。
ごくごく簡単にまとめました。青字をクリックで、ぜひご一読ください↓
ごくごく簡単にまとめました。青字をクリックで、ぜひご一読ください↓
生卵を使った絵の具って?【制作のこと①】
え?板も作ってるの??【制作のこと②】
どうして画家になったの?【制作のこと③】
あの巨匠と同じとは!【制作のこと④】
なぜこの画法(油彩テンペラ)?【制作のこと⑤】
テンペラ(油彩)画の工程ー画像と簡単な手順
ーーーーーーー
さいごに
第9話のオファーをいただいてから作品の返却まで3週間弱。その期間に、
S様と何通ものメールのやり取りをさせていただきました。
その中で「スケジューラー」さんが撮影日程を組まれる、とか
普段、全く知らない世界を覗かせていただきました。
衣装さん、美術さん、は聞いたことありましたが、スケジュールを組む仕事専門の方が
いらっしゃるとは!!
実は、この桜の絵と一緒にイーゼルも貸していただけたら、というオファーもありました。
が、この大型イーゼルは小型冷蔵庫並みのボリュームです。その上、形状が複雑な為
輸送中の破損の可能性も高い。率直にお伝えしたところ、イーゼルは美術さんで
準備したものになりました。イーゼルのオファーをいただいてから実際の撮影日まで確か2日間。
その間にここまでセットを完璧に作られるとは、、!!
新鮮な驚きが沢山ありました。
9月18日第10話は最終回拡大スペシャル
最終回と言いつつも、テレビ朝日の水曜日9時の顔、ロングランのシリーズ5の最終回なので、
勝手にシリーズ6も期待しちゃいますね。
全力で応援させていただきます。
お声がけいただいたS様、そして監督様、、スタッフの皆々様、、
俳優さんはもちろんのこと、話をいただいてから撮影まで、
色々力を貸してくださった皆々様。
周りの人に番組宣伝をしてくださった方々、、
本当にどうもありがとうございました!
何か絵でお役に立てることがありましたら、いつでもお声がけくださいませ。
丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫
オーダー絵画、お描きいたします
画家 白川美紀の作品やプロフィールはこちら↓
コメント