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今までの制作に関するまとめ記事↓よかったらどうぞ♪
生卵を使った絵の具って?【制作のこと①】
え?板も作ってるの??【制作のこと②】
どうして画家になったの?【制作のこと③】
あの巨匠もテンペラを、、!【制作のこと④】
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母が書家だったので、金箔をすき込んだ和紙や、漆塗りの筆箱、、、
父の転勤や旅行のたびに、その地方の工芸品を買い集め。人間国宝〇〇先生のナントカ、とか
大好きだから、ショッピングに行く先も工芸センターとか渋い。
つまり母は、手間と時間がかかったモノに大きな価値を見出してました。
「本物は古くなっても素敵なのよ」剥げた漆器を大事そうに磨きながら母のセリフ。
「本物ってなんだろ?」
プラスティックより本物の漆のお椀が美しい。
化繊より、本物の綿や麻が美しい。
金メッキより、本物の金の剥げた美しさ。
本物はずっと美しい
時間の経過を経たものは、新しいピカピカしたものが叶わない魅力があり。
そこに命を賭けてもいいくらいの絶対の美を感じたのです。
また、そこには時間(の経過)という目に見えないものが存在する。確実に。
骨董市で目にする本物の美しさ←学生の頃、大好きでよく足を運んでました
美術展で出会う、古典絵画のリアリティに満ちた美しさ。対面すると
心が震えるくらいの感動を覚えました。
(展示の大小、有名無名に関わらず、時間の経過が詰まった本物に出会うと
今でもドキドキします。多分、一時間くらいは見つめていられそう、笑)
私にとって、これ以上の美はなく、この震えるような美に、もう少しでも近づきたいと
強く思ったのです。
はるか昔、レオナルド・ダ・ビンチも用いた画法にたどり着いたのは、
上記の背景、理由があります。
油彩テンペラは、樹脂絵の具と白テンペラをごく薄く重ねていくので、
絵と静かに向かい合うと、表面の色味はもちろん、そこを通過して下の色が透けて見えます。
さらに、その下の色も複雑に目に入り、、時間の経過に似た(と私は思ってる)複雑で
豊かで美しい広がりを感じます。
実際には数ミリ、いや1ミリ以下の絵の具の層ですが、
一センチ平方メートルの中に、おびただしく複雑で深くて、美しい広がりがあります。
↑画像ではわからないのですが、こちらも実際に絵と向かい合うと
特に、うさぎの影や、花や植物の影、、透明な絵の具の下から複雑な絵の具の層が
じんわり現れて、本当に美しいです。
それでいて、頼りない弱さを感じることはなく、画面から跳ね返してくるような強さもある。
曖昧に描き進めれば、絶対に完成しない。この画法は、
絵の具の厚みやマチエールで「なんとなく雰囲気を出してごまかす」ということができない。
徹底的に自分と向き合って、全力を出し切らないと描けない、
そんな難しい画法だからこそ、人生を賭ける価値があると思いました。
現代の方こそ、見ていただきたい
ブログを読んでくださる方は、きっと毎日忙しい日々を送られているでしょう。
絵画鑑賞する時間すら惜しいくらい、お忙しい方もいらっしゃるでしょう。
でも、そんな方こそ、ぜひ、実際に会場に足を運んでいただいて
ほんの短い時間でいい、静かに絵と向かい合ってください。
そうすれば、きっと絵の奥にある豊かで美しい広がりが、
静かに心を満たしてくれると思います。
本や、映画をみた時のように、日常を離れて旅に出た時のように、
この現実世界と同時に存在する、別の世界に連れて行ってくれる。
そうして、豊かな世界に静かに身を置くと、
あなたの現実世界に戻ってきたときに、心がとても満たされているのに
気づくでしょう。
私が、全身全霊で追いかける絶対的な美が、忙しく頑張る方々の日常を
豊かにしますように。
2020年3月に宮坂画廊さん企画の「35周年展」に出品いたします
繊細かつ堅牢な、美しい絵肌。本物の良さをぜひ実際にご高覧ください。
画廊宮坂35周年記念 ”3号170点展”
【日時】2019年7/16-7/27 終了しました 2020年3月に仙台(宮城)展開催いたします
【場所】 東京都中央区銀座7-12-5銀星ビル4F
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