私は、ジタバタもがいていた頃。
優等生だったはずの
姉も 不良(古い表現ですが)の子とつるむようになりました。
姉は姉で葛藤があった様です。
姉妹の反抗に困った母親は、
友人から教えてもらった占い師の所へ私達を連れて行きました。
と あるアパートの一室。
薄暗い待合室の中は、
なぜか、竹やぶの壁紙だらけ。
日本じゃないような不思議な雰囲気の部屋で、無言で待つ親子。
しばらくたって出てきた占い師は、
真っ赤に光るチャイナドレスを身にまとい、
ゆっくり挨拶しました。
アパートの一室に中華的異次元。
それは、シュールな光景でした。
姉の進路や私の事、、、、
一通り相談し終えた後、
厳かに結論を述べた占い師の女性。
最後に、母に小さな袋を手渡しました。
「いいですか?
この袋の中には、
幸運のお守りカエル が入っています。
ご相談にみえた皆さんに渡すのですが、
中のカエルの色はそれぞれです。
銅製、銀製、それと金製の3つ。」
一言おき、声を強めて占い師は続けます。
「そして、 滅多にないのですが、もし金色だったら、
あなたは本当に幸運です。
そして、中のカエルの色が何色だろうと、決して他人に話してはいけません。」
占い師のただならぬ迫力に押されて、
母は黙ってうなずきました。
大事に持って帰った小さな袋。
家に帰って、早速、中を開けました。
息をのむ3人の視線の先。
コロッと出てきたのは、黄金に輝く
まさしく、金色のカエル!!!
私達三人は、無言でその幸福の
印を見つめました。私たちは幸運の金のカエルが出た!
そして、次の日。
興奮冷めやらぬ母が、
友人に電話しました。
占い師の 紹介のお礼だけで終わればよかったのですが、
うっかり、小さな袋の話になりました。
「、、、、ねえ、あの小さな袋の中見た?」
我慢できず、友人に聞く母。
「、、、見たわよ。」
「で、あの、、、何色だった?」
一言おいて友人の答え。
「うちはね。なんと、金色だったのよ!」
友人の言葉に沈黙する母。
占い師が、滅多にないと断言した金色カエルは、
友人の袋にも入っていました。
滅多に出ない幸運のカエルは、よく出るらしい。
どうりで他人に言うなと口止めされた訳で!
その夜は、金色のカエルをみては、その話で 家族で大笑いしました。
その後何年も、バラバラになりかけて
危うい家族のつながりでしたが、
その夜は、ひたすら笑いあった金のカエル事件でした。
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