美しきバルール 5

前回の続き、、、  

それまで、「やりたくないこと」は沢山あったが、
自分のジンセイで「やりたいこと」を考えたことが
なかった。 

中学卒業後、を考えるにあたって、
自分のやりたい事は、何だろう?
と真剣に考える様になったが、簡単には浮かばず。
 施設の仲間は、早めに社会に出る子が多く、
私もそこの先生から、就職を勧められた。
 それも悪くなかったが、ふと手にした
学校案内の冊子で、
「美術系」という言葉が目に入った。
 別に絵を描くのが好きだった訳ではなく、
むしろ、文章、詩、めいたものを
同人誌に書いて、夢中になっていたくらいで、
それまで、イラスト以外に真剣に
絵を描いた事はなかった。

 でも、「美術」とか「アート」という
言葉には なにか魅力的な響きがあり、 
学校案内を読みふけるうち、
そういう美術系の学校に行くには、
 高校を出ないと進学できないとわかった。
 
上手く言えないのだが、そのとき、
高校にいこう!
と ひらめいた。
 一週間の研修さえ受ければ、家に帰れるからと、
だまされて施設に入所してから(!?) なんやかんやで、
結局、2年近くがたっていた。











果たして、高校にきちんと通い続けることができるのかが、課題だった。
自宅近くの親切な方の家に預かってもらい=ホームステイなどで
元の中学へ復学したものの、結局すぐ行かなくなった過去もある。
人はそう簡単に変らない ということは、自分で実証済み。

 ようは、同い年のエネルギーあふれるザワメキ、
思春期特有の残酷で鋭い感性。 その時期に、自我を獲得して
さなぎから大人に脱皮するのだが、その自我すらどこにあるのかよくわからない。 

1時間あまりの授業時間、その間の休憩。
ガッコウという集団生活に身を置く事、全てが、苦痛で仕方なかったのだ。
 なので、普通校に行ってもまた挫折するだろうと思った。
ない頭で必死に出した結論は2つ。
 
1、私立の女子校に行く
 2、定時制の高校へ行く

 常々、考えすぎて前へ進めなくなる。なら昼間仕事をして、疲れきってしまえば
夜、ガッコウでもあまりピリピリしなくなるだろうという考えから2を選択した。
 2には、経済的な事情で、高校へ行けなかったおじさん、おばさんがくる場所だと思い込んでいたのもある。
 世代が違えば、ガッコウもなんとか続くだろう。だが、後日それは、大きな勘違いとわかる。
 時代は豊かになり、集団生活に馴染めない、ちょっと生命力が弱めの、
私みたいな子供が世の中に出始めていたのだ。 
定時制高校は、そうした子供の受け皿となりつつあった。

 入試会場に、おじさんおばさんは見事に一人もおらず、
紫のスーツを着たヤンキー系の若い子が大勢いた。

ようやく「親分」を卒業したのに、また、ご縁があるようで、、、、!
 自分の時代錯誤な誤算に苦笑しつつも、
封筒作りの生活に戻る訳にはイカナイ! 

こうして寮から、昼間は花屋で働き(施設で紹介してもらった職場)、
夕方〜夜は高校と、そして寮へ帰る生活が始まったのだった。

丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

オーダー絵画、お描きいたします
画家 白川美紀の作品やプロフィールはこちら↓
公式FB・ Instagram ・blog 日々発信、よかったら繋がってくださいね
イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間

コメント

非公開コメント