フレスコ画(fresco)とは、漆喰を用いた古典絵画技法です。代表的なものは
ミケランジェロ作「最後の審判」(1536-1541年) システィーナ礼拝堂
さらに古くは、「ラスコーの壁画」*モルタルを使って人為的に描かれたフレスコ画ではない
教科書で見た方も多いのでは?
「モルタルのフレスコは、まず壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態で、つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。やり直しが効かないため、高度な計画と技術力を必要とする。逆に、一旦乾くと水に浸けても滲まないことで保存に適した方法だった。失敗した場合は漆喰をかき落とし、やり直すほかはない。
いわゆる、板やキャンバス、紙を基底材にした絵画が登場する前の「壁画」です。
フレスコ画を描くのは、フィレンツェで学んで以来のこと。
イタリア語で一生懸命まとめた技法ノートも見当たらず、一から調べ直し、材料も揃え直しました。
が届いたモルタルは、描画に不向きのものだったようでうまくまとまらず。
改めて別業者に【フレスコ用モルタル】を注文、2回目のモルタルでリトライ!
柔らかいモルタルに顔料をそっと乗せる感覚、、思い出しました。
そして、三度目の正直。ようやく描けました!!
夢中で制作してると、修復家だったエレナ先生とか
イケメンの助手の先生や
教室やアパートで出逢った方々、留学がキッカケとなって結婚した夫のこと、
横断歩道の真ん中でおじいさんに熱く誘われたこと、、いろいろ思い出します。
フィレンツェで描き終えたフレスコとスーツケースを持って、パリまで寝台車で移動。
数日散策後、 そこから日本へ帰国。
道中、腕がちぎれそうになるくらい重かったけど 大事に持ち帰りました。
数年、アトリエに置きっぱなしでしたが、ふと思い立って、
ストラッポ(剥離)し、そのバラバラになったカケラを合わせたら
昔の遺跡から発掘されたような感じに。 まるで博物館で見た事ある様な雰囲気に。
「古くて新しい感じ」が出て、ちょっとオブジェの ような仕上がりに。
展覧会に出品し、すぐ行き先が決まりました。
1枚目の「ベルガモのかけら」。偶然の割れの形が美しい。
数年後、別の方から「ご家族の誕生日お祝いにしたい」とご注文いただいて、
この2枚目を描くことになったのでした。
晴れた日に、膠を湯煎しストラッポ(フレスコの表面を剥離)の準備にとりかかります。
そして、寒冷紗という布を表面に膠で貼付け。試作品も同じ様に。
この後、膠が乾いたら、布をバリバリ引っ張ると布ごと下のフレスコも表面のみ剥がれる。
布ごと膠を丁寧に洗うと、元の絵がちょっと剥がれ割れた塊が現れる、、はずが
布を引っ張る、と、、
ビリっ!!
布だけが破け、予想外の展開に焦る私。
1枚目の時は、布と一緒にフレスコの塊がコロっと剥ぎ取れたのに
おかしい。 布を引っ張る角度が悪かったのかと、絵の周りをまわったり、
手を変えながら引っ張ったが、やはり布だけがビリビリと破けた。
手持ちの道具(ノコギリから、カッター、ついには包丁まで登場!) で
なんとか板から剥がそうとしたが、全く取れなかった。
↑試作品もようやく布を剥がしたが大失敗。
表面が剥ぎ取れないだけではなく、いじるうちに下地の基底材の板のつなぎ目が外れて、
絵はど真ん中から真っ二つに割れてしまった!!
ど真ん中で絵が二分割=もう作品としては諦めよう、と断念しました。
お届けするために、もう飛行機のチケットは手配済み。
さあ、出国までに間に合うのでしょうか?
丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫
オーダー絵画、お描きいたします
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