フレスコ画制作 ①

フレスコ画(fresco)とは、漆喰を用いた古典絵画技法です。代表的なものは
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ミケランジェロ作「最後の審判」(1536-1541年) システィーナ礼拝堂

さらに古くは、「ラスコーの壁画」*モルタルを使って人為的に描かれたフレスコ画ではない
Lascaux_painting.jpg
教科書で見た方も多いのでは?

以下、Wikipediaより転載
「モルタルのフレスコは、まず壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態で、つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。やり直しが効かないため、高度な計画と技術力を必要とする。逆に、一旦乾くと水に浸けても滲まないことで保存に適した方法だった。失敗した場合は漆喰をかき落とし、やり直すほかはない。


いわゆる、板やキャンバス、紙を基底材にした絵画が登場する前の「壁画」です。

フレスコ画を描くのは、フィレンツェで学んで以来のこと。
イタリア語で一生懸命まとめた技法ノートも見当たらず、一から調べ直し、材料も揃え直しました。
フレスコ材料 
が届いたモルタルは、描画に不向きのものだったようでうまくまとまらず。
改めて別業者に【フレスコ用モルタル】を注文、2回目のモルタルでリトライ!

通常制作(テンペラ画)のように強く描いたら柔らかいモルタルが削れ焦ります。
柔らかいモルタルに顔料をそっと乗せる感覚、、思い出しました。

そして、三度目の正直。ようやく描けました!!
フレスコ2_convert_20130418143143 
夢中で制作してると、修復家だったエレナ先生とか
イケメンの助手の先生や
教室やアパートで出逢った方々、留学がキッカケとなって結婚した夫のこと、
横断歩道の真ん中でおじいさんに熱く誘われたこと、、いろいろ思い出します。

フィレンツェで描き終えたフレスコとスーツケースを持って、パリまで寝台車で移動。
数日散策後、 そこから日本へ帰国。
道中、腕がちぎれそうになるくらい重かったけど 大事に持ち帰りました。

数年、アトリエに置きっぱなしでしたが、ふと思い立って、
ストラッポ(剥離)し、そのバラバラになったカケラを合わせたら 
昔の遺跡から発掘されたような感じに。 まるで博物館で見た事ある様な雰囲気に。
「古くて新しい感じ」が出て、ちょっとオブジェの ような仕上がりに。 
展覧会に出品し、すぐ行き先が決まりました。
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1枚目の「ベルガモのかけら」。偶然の割れの形が美しい。

数年後、別の方から「ご家族の誕生日お祝いにしたい」とご注文いただいて、
この2枚目を描くことになったのでした。

晴れた日に、膠を湯煎しストラッポ(フレスコの表面を剥離)の準備にとりかかります。IMGP2821のコピー_convert_20130627144725   
そして、寒冷紗という布を表面に膠で貼付け。試作品も同じ様に。 IMGP2823のコピー_convert_20130627170334 
この後、膠が乾いたら、布をバリバリ引っ張ると布ごと下のフレスコも表面のみ剥がれる。
布ごと膠を丁寧に洗うと、元の絵がちょっと剥がれ割れた塊が現れる、、はずが
布を引っ張る、と、、
 ビリっ!!
布だけが破け、予想外の展開に焦る私。 

1枚目の時は、布と一緒にフレスコの塊がコロっと剥ぎ取れたのに
おかしい。 布を引っ張る角度が悪かったのかと、絵の周りをまわったり、
手を変えながら引っ張ったが、やはり布だけがビリビリと破けた。 

手持ちの道具(ノコギリから、カッター、ついには包丁まで登場!) で
なんとか板から剥がそうとしたが、全く取れなかった。 sippaisaku 
↑試作品もようやく布を剥がしたが大失敗。

表面が剥ぎ取れないだけではなく、いじるうちに下地の基底材の板のつなぎ目が外れて、
絵はど真ん中から真っ二つに割れてしまった!!

ど真ん中で絵が二分割=もう作品としては諦めよう、と断念しました。
お届けするために、もう飛行機のチケットは手配済み。

さあ、出国までに間に合うのでしょうか?

丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

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イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間

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