おもしろ叔母さん

ある日曜日、思いがけず叔母さんから
電話をもらった。
 「ワ、タ、シ、叔母さんですヨ〜〜」 
飄々した声を聞いて、なんだか嬉しくなった。

 私の父は6人兄弟だが、男性は父のみ。
5人の女性に挟まれて育った。
 父もユニークだが、5人の叔母もそれぞれ
個性が強くて面白い女性達だ。 

その一人、Y叔母さんは、時々思い出した
ように「どうしてる〜〜?」と電話をくれる。
 東京大学大学院を出て、関西のK大学で教鞭をとり、
定年後にとある大学での新しい学部を立ち上げを
ひきうけ、見届けたところで3月にそちらも引退した。

 とにかく研究熱心、向学心の塊なのだ。
と なるとオカタイキャラクターを想像するが、
 メチャメチャ自由なところがある。
 私が中学生の頃、叔母さんに連れられて食事を
した。
その頃、私は頑として学校に行くのを拒み
周りの大人の手を焼かせていたのだが、 
叔母さんは、大人のお決まりの質問
「なんで学校に
行きたくないの?」は特に言わずに
出てきた料理を見て
「あら!この盛りつけ素敵よ!」と
目を輝かせた。

 刺身が盛られた飾りの貝殻を手に取り、添えられた
花をヒョイとのっける叔母さん。
 鼻歌まで歌ってる、、、。
(食べ物で遊んでもいいんだ〜〜) 
叔母さんを見ていたら、私まで真似したくなって
貝殻を船に見立てて、葉っぱをさしたり、
串を指したり、塩を美しく撒いたり、
食後の机の上で、黙々を二人でオブジェを
作った。

 「わ〜!ミキちゃんの素敵じゃない!!」
叔母さんに褒められて、
久々に大人に褒められて
夢中になって、お箸袋まで飾り付けてみた。 

ただの貝殻が、素敵な宝船のようになった。 
調子にのって塩をまいたり、皿をひっくり返したり
机の上はすごいことになった。
 しばらくたって女将さんが、器を下げに現れると 
「この子のオブジェ見て。姪っ子が作ったのよ。
素敵でしょ〜」と
叔母さんは大真面目に言い、
二人で広げた食べかすの
山を見て困惑した顔の女将さんと、
 それをオブジェと言い切る叔母さんの対比が
可笑しくて、笑いをこらえた。 

それから時間はたち、、、
叔母さんがずっと研究し続けてきた分野
ー幼児教育ーに関しての
集大成をまとめた本が
出版されるそうだ。
 はからずも、「ミキちゃんの絵を入れたいなあ〜」
と言ってくれた。
 とても、大切な本だろう。
 そういってもらえるのは、今までの積み重ねを
認めてもらえたような気がして、本当に嬉しい。 

「そのうち仙台に行くわ。温泉もいいわね〜」
弾むような声で叔母さんは電話を切り、 
本と絵の嬉しい話をニヤニヤと想像してたら、
 急に、あの貝殻のオブジェを真剣に褒めてくれた
事を思い出した。







丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

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イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間

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