国際詐欺事件 2

 いそいそと宛のカードと作品を梱包して、
イギリスへの発送を待つ頃、、、、 

「ロンドンからエアメールで為替が送られてきたから
 今日、換金しに郵便局行ってくるよ〜」
弾んだ声の姉からの電話に、
私までうきうきした
気分になった。 

 ついに、現実となったのだ!

Mrs.venus simmonsさん、ありがとう!
 あなたに後悔させないように、私はさらなる精進を
積みます!

ところが、その後の姉からの連絡はなし。
 忙しくて郵便局に行けなかったのかな? 
数日たった頃、しびれを切らした私に
姉から電話が来た。
 開口一番「やられた〜。詐欺だったよ」
「!?」 

まだ作品をロンドンに送っていないはず。 事情がよく飲み込めない私は、口をパクパク。
 くやしそうに語る姉の口から出たのは
信じられない様な、衝撃の出来事だった。

 ロンドンから送られてきた為替の金額は、
なぜか2点の購入金額を大きく超えたものでした。
 姉がメールでMrs.venus simmonsさんに
金額が違う事を伝えると、
”同時に日本から
購入する家具の代金と間違えた”との事、、、
で、 姉が為替分を全額換金し、
作品2点分の代金を受け取って、
残りの差額は
Mrs.venus simmonsさんの返金することになった。

 そこで、姉は近所の郵便局に出向いた訳なのですが、、、

 局長さんから「ちょっとこの為替について
聞かせてもらえますか?」
と色々事情聞かれた。
別室での 局長さん話によると、この為替はよくできた偽物で、
 同じ市内で、同じサイン、同じ偽ドル為替が
何枚も出回ったらしい。

すでに本部から通達が出ていた頃に
姉が換金しに行ったということだったのです。

 「もう、警察で事情聴取されて大変だったよう〜!」

 嘆く姉に、私は、まだ事情がよく飲み込めず、
 「え?でも、作品まだ送ってないよね?
何が目的だったんだろ??」
たまりかねて姉が笑い出した。
 「釣り銭詐欺、国際ツリセン詐欺!」

釣り銭詐欺、、、。
 犯人は、わざと実際より多い額面の為替を送る。
 送られた方は、その事を連絡し、結局差額を送り返す。
 何も知らない日本人が換金しに行けば、
疑われる事も可能性も少ない。 
その”換金される差額”を目当てに、偽為替が出回ったのだ。 

つまり、犯罪の片棒を知らず知らずに担がされそうに
なったという訳である。

 え?じゃ、舞い上がっていた私は、一緒に犯罪者になりかけた訳か、、、

 「突然、ナイジェリアからメールが来たから、
なんかアヤシい気もしたんだよね。
 結構、西アフリカは、そういう話多いんだ」 

そういうアヤシい出来事があったなら、
早く言って欲しかったヨ。

 詐欺だと確定した直後は、もう、悔しくて、
舞い上がっていた自分が情けなくって、
 Mrs.venus simmonsに抗議のメールを送ろうとか、
新聞社にこの事件を知らせなくては〜! 
とか鼻息荒くいましたが、
まあ、幸いな事に?大きな被害はなく 
(姉は事情聴取されたり大変だったみたい、
ごめんなさいね)
梱包とカード代が無駄になったくらい、、、。
しかし、他にも被害者がいると聞いたはずなのに、
テレビでも、新聞にも全く報道されず。

 あれ?
これって夢だったのかしら? 
いやいや、夢でない証拠に、
部屋には、がっちり梱包された荷物が一つ(笑)

 何ヶ月か経ちくやしさも薄れた頃、
ヤフーニュースで、
詐欺事件の犯人が逮捕されたと
小さく報道されていました。

 犯人は、日本人とロンドン在住のイギリス人、
ナイジェリア人の3人組だったそうです。
知り合いの画商さんが、「数あるサイトの中から
あなたの絵を選んだってことは、結構
作品を気に入ったのかもねえ、アハハ」
と 微妙な慰めをしてくれました。

 今なら、私もアハハと笑えます。 
 この事件のこと、姉、白川由紀のウェブエッセイにも
掲載されています。
 面白いのでよかったら、そちらもご覧下さいね。 

でも、日本のアトリエでコツコツ描いている絵が、
国際偽為替とか、
とんでもないスケールの闇の話に
つながっていくのって
ネット社会だから
ですよね。

嘘みたいな本当の話、でした。

丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

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イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間


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