震災のこと 8

翌日、高速バスに飛び乗り、新潟へ向かう。

 雪が降りつもる寒い夜、満席のバスが6台(!)も連なり
新潟へ向かう。
夜の12時に到着する予定だ。
 心細さでなんだか泣きたくなったが、ふと周りの様子をみると
若い女性のグループが、
小さな子供を連れたお母さんに席を
譲って移動した。
この非常時、知らない者同士が荷物を持ち
合ったり、ちょっとした事で声をかけたり
、お互い少しでも
協力しあおうという空気が本当にあちこちにあって、
私の気持ちはほぐれた。 

夜の高速をバスはひたすら走る。
 夕飯に家から持参したおにぎりをぱくついていたら、
 突然おちびから「プリプリッ!」と破裂音が、、、。 
おむつを開けるとあふれんばかりのウ◯チ。
 交換しようとバックをみて青くなった。
 おむつが一つも見当たらない。 
バタバタ慌ただしくバスに乗った為、肝心のおむつを
バスの下のトランクに入れっぱなしだった!
 まさか、おむつの為に高速でバスをストップする訳にも
いかない。
焦った私が、青くなったり赤くなったりしてる間も、
おちびは構わず力み続け、服はかなり汚れてしまった。
 とっさに隣の女性に声をかけておちびを見てもらい、
バスの中を走って、
同じ様な乳児を連れた家族を見つけ 
「スミマセン!!おむつを分けてもらえませんかっ?!」
と 頼んだ。
 事情を話すと、おむつが手に入りづらい時期にも関わらず、
快く分けて下さり、
無事新しい物に交換できた。

さて、すっかり汚れてしまった服を見て、途方に暮れた。
 と その時、おにぎりを入れてきたレジ袋が目に入る。
 その瞬間にこれでパンツを作ってしまおう〜と閃いた! 
ビニールを慎重に破って足を通す穴を2つあける。
 汚れた服の上から、特製パンツカバーを履かせた後、
レジ袋の取っ手の部分を
ひも代わりにおちびの腰に
巻き付け、それは完成した。
 我ながらこの無から生み出す知恵はスゴい!と 感心した。

 それまでの数日間、食べ物も物も燃料も入手困難な時期が
続いていたので、
あるものでなんとか工夫&代用する能力が
鍛えられていたようだ。 
それから次のパーキングに着くまでの数時間、元レジ袋
特製パンツカバーを
シャミシャミ言わせながら、なんとか
やり過ごした。
隣の女性が、「変わったパンツですねえ〜」
なんてニコニコ笑って言った。

 ようやく新潟に到着し、おむつを下さった家族に別れを告げ、 
光ちゃんが予約してくれたホテルに向かう。
 新潟は真っ白だった。
 雪が降り積もっていたのと、極度のドライアイでコンタクトの
視界が真っ白になり、
ほとんど勘と嗅覚?でホテルに着く。 

おちびとベビーカーと大きなバッグ2つを抱えヨロヨロと到着した
私にフロントの人は優しかった。
 翌朝、新潟から上越新幹線で東京に向かう。 
大幅な節電で電車の本数が減っていると聞いて、
ちょっと遠回りだが、
東京駅経由で実家に帰ることにする。
 新潟駅は、これから東北に戻る人と東北を出た人で
混雑してたものの、
お店には商品が沢山並び、ここは被災地
ではないのだと実感した。 

上越新幹線の車中は、サラリーマンが普通に座り、車内販売の
お姉さんも日常のままで、
なんだか不思議な気持ちになった。
 実家に向かう中央線の車中「節電の為、暖房を止めております」
と アナウンスが入る。
申し訳なさそうに何度も繰り返した。 
外出着のまま電車に乗ってるので、全く寒さを感じない。 
もう、運行してくれてるだけで十分有り難い。 

今まで、私達がそんなサービスを要求していたのだろうか?
 もちろん、電力はこれだけではないけれど、、、
こういう高いサービスを維持するにも、
沢山の電力は必要で、
その需要を支えていたのが、福島にもある原発な訳で。
 今の福島の状況を考えると、何も知らずにものすごいリスク
の上に
成り立っていた生活を送っていたのだと
何とも言えない気分になった。

丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

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イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間

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