美しきバルール 12

昨夜、チュンチュンさんの夢を見た。
 チュンチュンさん、、、、それは、父方の祖母。

 小柄で、食事は小鳥がえさをついばむ量くらい
少なかったので、誰かが、そうあだ名をつけた。
 母親は長い間療養中だったので、
誰かがその欠けた部分を
常に補ってきたのだが、
 チュンチュンさんも高齢に関わらず
随分、母の代役を頑張ってくれた。 
 
が高校生の頃、
父は単身赴任、私は施設に入っていて、
一人暮らし。
 ある時、家の周りを、
アヤシい人影?がうろついていたと、
別棟のチュンチュンさんに
「どうしよう〜」と
電話した。 
その時、すでに70代後半だったと思うのだが、
「ちょっと待ってて!今すぐ行くから!」と 
日頃、物静かなチュンチュンさんは
強い口調で言い切った。
 しばらくして、そろそろと現れた。 
(どんなに急いでも、ちょっと時間は
かかっちゃうのね)
 背中の曲がったチュンチュンさんの
しわだらけの手に握られていたのは、
古〜〜いすりこぎ!
「ゆきちゃん、これで戦うわ!」
小さい声ながら、きっぱりと言い切った。
 台所から、一番武器になるもの〜
と 考えぬいて
もってきたようだった。

 また、ある日は、庭の茂みでバタバタする
大きな生物を発見した。
 近づいてみると、虫でなくて、
いつものジャージにサンダルの
チュンチュンさんが、
ひっくり返って
無言でジタバタしていた。
どうやら、うちに惣菜のおすそわけに来たあと、
庭の坂でバランスを崩して、
 ひっくり返っていたらしい。
 地味な服装が、茂みと同化して
すぐには人だとわからなかった。

 はにかみやで、前に出しゃばる事を嫌い、
庭の花が咲いた とか
小さな事で
いつも、すごく喜んでいた。
 うちの家族はどちらかというと、
ちょい高めの目標を設定して 邁進せずにはいられない、
 欲張り体質だ。その中で、欲張らず、身の丈の幸せで
いつも喜んでいたチュンチュンさんを
みるといつもホッとした。

天国に旅立つその日まで、
庭に咲く、ミヤコワスレのように
可憐で、可愛らしかった。
 どんな夢か忘れてしまったが、
思い出す度、心がほんわかとなる
チュンチュンさんでした。


















丁寧に時間をかけた贅沢な作品は、目に見えない時間を閉じ込めたもの。
それが飾られた場所の空気を本物にします♫

オーダー絵画、お描きいたします
画家 白川美紀の作品やプロフィールはこちら↓
公式FB・ Instagram ・blog 日々発信、よかったら繋がってくださいね
イタリアで美術を学んだ画家と、楽しい学びの時間

コメント

非公開コメント